絵本ひろば

ななつのはながさくころに

この絵本の説明:
この絵本は、むかしのお城を舞台にした、ひとりの武将と、ひとりのお姫さまの物語です。
物語は、ふたりがまだ小さな子どもだったころから始まります。城の庭で出会い、いっしょに遊び、花を渡し合ったふたり。言葉にしなくても、相手を思う気持ちが自然と伝わる、あたたかな時間が流れていました。

やがて時は流れ、男の子は強い武将に、女の子は美しい姫へと成長します。武将は戦に赴き、戦場では「武神」と呼ばれるほどの強さを見せますが、心の奥ではいつも姫のことを思っていました。
しかしある日、城に危険が迫ります。不安を感じた武将は戦地から城へ戻り、炎と敵に包まれた城の中で、姫を命がけで守ります。

深い傷を負いながらも姫を背負い、城を抜け出す武将。たくさんの矢がふたりに降り注ぎますが、それでも前へ進みます。
やがて川辺の舟にたどり着き、ふたりは力尽きながらも、幼いころに歌っていたわらべ歌や、花の思い出を胸に、静かに舟に身を横たえます。
燃える城を背に、舟はゆっくりと流れ、ふたりの心は、また春の庭へと戻っていくのです。

*****

この絵本を、6歳以上のお子さんに読んでほしい理由は、「やさしさ」や「思いやり」が、言葉だけでなく行動で描かれているからです。
強さとは、相手を打ち負かすことではなく、大切な人を守ろうとする心であること。
好きという気持ちは、大きな声で言わなくても、花を渡すことや、手を離さないこと、そばにいることでも伝えられること。
この物語は、それらを静かに、やさしく教えてくれます。

また、死や別れといった重たいテーマも、直接的に恐怖として描くのではなく、「思い出」「歌」「花」といった、子どもにもなじみのあるやさしい象徴を通して表現しています。そのため、お子さん自身が「悲しいけれど、あたたかい」という感情を自然に受け取ることができます。

親子で読みながら、「どうしてこの人は守ったのかな」「このふたりはどんな気持ちだったと思う?」と話し合うことで、想像する力や、他人の気持ちを考える心も育まれるでしょう。
この絵本は、読み終えたあとも、静かに心に残り続ける一冊です。
花が咲く季節に、ぜひお子さんと一緒に、ページをめくってみてください。
ページ数:
15
対象年齢:
6歳〜
タグ:

評価

ログインすると評価ができます

感想

ログインすると感想の投稿ができます

この作者の近況ボード更新履歴