東宝×アルファポリス「第10回絵本・児童書大賞」優秀賞受賞!
『おばけちゃんだってこわいんです』作者 しばなおさん
■ 「ないなら作るしかない」がクリエイティブの源
ーーしばなおさんの2作目『ぼくたちはまっているんだ』。こちらも第11回絵本・児童書大賞で優秀賞を受賞され、書籍発売が決定しています。タッチは違いますけれども、こちらもシンプルながら世界の広がりを感じる夢のあるお話ですね。
ありがとうございます。これも『おばけちゃんだって〜』とまったく同じ発想で考えたお話ですね。水族館のチンアナゴが注目され始めた頃、チンアナゴのグッズはたくさんあるのに、チンアナゴの生体が子どもでもわかるような本がなかったんです。図鑑を見るというのもひとつの手段ですが、それとは別に、キャラクターっぽいんだけど生体がわかるような本があれば、子どもたちが海の生物に興味を持つんじゃないかなって思って。 ないなら作るしかないという“DIY精神”で描きました(笑)。
『ぼくたちは まっているんだ』
――「ないなら作るしかない」というのがしばなおさんのクリエイティブの源なんですね。
そうなんです。今って素晴らしい本がたくさんあるので、あるならそれで充分。ただ、海外に住むと「ないなら作ろう」と思うようになるんですよね(笑)。うどんを食べたくなったら自分で作らないといけない土地ですから。私にとって絵本作りは自家発電みたいなものなのかもしれません(笑)。
■ 描いているうちに見えてくるものがある
ーーしばなおさんは子供の頃から絵を描くのが好きだったんですか。
大好きでしたね。幼稚園とか小学校の頃にはもう先生に、「美大に行きたいです」と言っていました。絵画学校に通わせてもらったのですが、中学の時に出会ったとてもいい先生が日本画の先生でした。その先生に「君は日本画に向いてる」って言われたんですよ。それから日本画の画法を教わり、中学・高校時代は花などの日本画的な絵をずっと描き続けていました。だから受験するときもあまり疑問を持たずに日本画の道を選びましたね。
ーー好きなものに自然と向き合ってきたんですね。そしてその後、ニューヨークへ。
一度帰国してはいるのですが、トータルで20年ぐらい住んでいます。よく「ニューヨークにいると絵を描くうえで刺激になるでしょう」って言われるんですが、日本のほうが情報は多いと思います。特に絵本に関しては、アメリカの絵本って日本とかなり趣向が違うんですよね。アメリカは歴史が浅い国なので、『浦島太郎』のような昔話がありません。昔話風のものというと、『ピーターラビット』や『くまのプーさん』などのイギリスの作品になりますし。それに様々な人種や文化が集まる国なので、誰もが共感できる作品を作るのはなかなか難しい。日本の絵本は、開いた瞬間にわかる空気感みたいなものがありますよね。どちらにも良さがありますし、それぞれ面白いなと思います。
ーー普段どんなインプットを心がけていますか。
歌や音楽に刺激をもらうことが多いですね。その時に若い人たちが聞いている音楽を聞くと、世相がわかるので面白いです。洋楽に邦楽、K-POPなどいろんなジャンルを聞きますよ。特に注目するのは歌詞ですね。 流行歌って内容は30年前から変わらないけど、言葉の選び方は時代によって違ってくる。 私は絵を描くのは好きだけど、お話や文章を考えるのが苦手なので、言葉選びがうまいアーティストさんにすごく興味があります。若い世代の方が聞くような曲も積極的に聞いていて、最近もすごいなと思ったアーティストの曲は、家で子どもたちにも「これ聴きなさい!」って薦めてるぐらいです(笑)。
実際の作業場
――しばなおさんのこれまでの作品は、「絵本ひろば」でも読むことができます。 絵本を描いてみたい、「絵本ひろば」に作品を投稿してみたいと考えている方たちにメッセージをお願いします。
わからないなりに描き始めると、描いているうちに見えてくるものがある ので、まずは描いてみてほしいなと思います。描いてみたいけどためらっていたり、アイデアやすでに描いた作品はあるけど、他の人に見てもらえる機会がないと考えている方も、きっとたくさんいらっしゃると思います。「絵本ひろば」ならどこからでもアップロードできますし、世界中の人に見てもらえます。それに「絵本ひろば」を見てくださる方っていい人ばかりなんですよ。私も一読者として素敵な作品には感想を送っています。モチベーションがどんどん上がる場所なので、まずはチャレンジしてみてほしいですね。
東宝×アルファポリス 第10回絵本・児童書大賞 優秀賞受賞作、待望の書籍化! おばけちゃんはとってもこわがり。トイレに行くのも、お風呂に入るのもこわいんです。ひとりで寝るのはもっとこわい! そんなおばけちゃんが、一番こわいものって……? 寝かしつけにもぴったりな、1・2・3歳向けの絵本。親子で楽しめる、かわいいおばけと人間の子どものお話です。
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