絵本ひろば

「絵本ひろば」から出版! 絵本作家インタビュー

東宝×アルファポリス「第10回絵本・児童書大賞」優秀賞受賞!
『おばけちゃんだってこわいんです』作者 しばなおさん

『おばけちゃんだってこわいんです』
しばなお / 著

東宝×アルファポリス 第10回絵本・児童書大賞 優秀賞受賞作、待望の書籍化! おばけちゃんはとってもこわがり。トイレに行くのも、お風呂に入るのもこわいんです。ひとりで寝るのはもっとこわい! そんなおばけちゃんが、一番こわいものって……? 寝かしつけにもぴったりな、1・2・3歳向けの絵本。親子で楽しめる、かわいいおばけと人間の子どものお話です。

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おばけをこわがる人は多いけど、おばけだって人間がこわかったら……? こわがりなおばけという従来とは逆を行くアイディアで東宝×アルファポリス「第10回絵本・児童書大賞」優秀賞を受賞した『おばけちゃんだってこわいんです』。作者のしばなおさんは、絵本を描くのは『おばけちゃん』が初めてだったそうです。どのようにして『おばけちゃん』の書籍化に至ったのか、お話を伺いました。

初めて描いた絵本が『おばけちゃん』

ーーしばなおさんが初めて描いた絵本、『おばけちゃんだってこわいんです』。どんなきっかけでこの本を描こうと思われたのでしょうか?

私が絵本を描くことになったのは、「絵本ひろば」が主催していた絵本コンテストを知ったことがきっかけでした。私は今、家族とニューヨークに住んでいるのですが、たまたまネットでコンテストのことを知りました。気になるな、どうしようかなと悩んだのですが、 締切の1ヶ月前ぐらいに「やっぱり描いてみよう」と決心。そこから初めて絵本を描きました。

『おばけちゃん』書籍化前の原画

――それまで絵本にはどのように触れていましたか。

もともと絵本は大好きで、子どもたちが小さい頃は毎日3冊は一緒に絵本を読んでいました。向こうの学校で図書館の司書のように、子どもたちに本を貸し出すボランティアをしていたこともあったので、どういう本が子どもたちに読まれるかというのは、少しわかっていたんです。

――応募するにあたって初めて絵本を作られたということですが、最初にぶつかった壁はありましたか。

私は女子美術大学院で日本画を学んだので、日本画のように1枚、2枚の絵を描くことには慣れていました。でも絵本となると絵がたくさん必要ですよね。「締切まであと1ヶ月ぐらい。ということは一日1ページ以上描かないといけない……」って。私はイラストレーターとしての仕事もしていて、ちょうどその頃デジタルを導入したばかりでした。日本画って乾かす時間が必要なので量産できないんですが、デジタルなら乾燥時間はいらないし、描き直しもすぐできる。日本画より速いペースで描けるかもしれないと思って、デジタルで描いてみることにしました。

絵本以外のイラスト作品

――主人公は、とてもこわがりなおばけの子“おばけちゃん”。人間の子を怖がっているけれど、人間の子どもたちも同じようにおばけを怖がっていて……という物語ですが、ストーリーはどうやって着想しましたか?

うちの子が小さい頃、“おばけちゃん”のようにとても怖がりだったんです。 当時まだ小学生だったんですが、ひとりでお手洗いにも行けなくて。どうしてこわいのって聞いたら、「おばけがいるから」って言うんです。「おばけだってあなたのことがこわいかもしれないよ」と言ってなだめていたんですが、ふと「こういう絵本があったらいいのにな」と思ったんです。おばけの目線に立った絵本がほしいなと思って探したけれど、なかったんですよね。ないなら自分で作ってしまおうというアイデアから生まれたストーリーです。

『おばけちゃん』の下絵

初めての絵本、初めての応募で書籍化

――そして応募された『おばけちゃんだってこわいんです』が、第10回絵本・児童書大賞で優秀賞を受賞されました。 初めての絵本、初めての応募で受賞というのはすごいことですね。

受賞のご連絡をメールでいただいたんですが、最初は詐欺のメールかと勘違いしてしまいました(笑)。それで読まずにいたら、メールを3通も送ってくださっていて。冷静になってから読み直して、放心状態になりましたね。その後、書籍化しましょうと言われたときもまた放心状態(笑)。アルファポリスさんの名前を騙った詐欺なんじゃないかという思いが消えなかったんですが、担当の方とお話をしてやっと、「これは本当なんだ」と信じることができました。

――受賞、書籍化が立て続けに起こると驚きますよね。

その後、書籍化にあたって内容をブラッシュアップし、絵も描き直すことになったのですが、その作業が私にとってはとても大変なものでした。絵を描くことは慣れていても、絵本作りについては本当に素人でしたから。