「第12回アルファポリス絵本・児童書大賞」優秀賞受賞!
『だんごむしコーロコロ』作者 海野あしたさん
■ 一発OKってまずない
――書籍化するにあたってはどんなブラッシュアップをされましたか?
最初に描いた『だんごむしコーロコロ』を小学生に読んでもらったときに「だんごむしじゃなくカブトムシの幼虫じゃん」とか言われていたので(笑)、まずはだんごむしのフォルムを変えようと、何パターンも考案しました。色合いもいろんなバージョンを作りましたね。シーンも結構多かったので、削ったりして再構成しました。
――編集部からのアドバイスを聞きつつ、新たに書籍を作る作業はいかがでしたか。
アドバイスをしてくれる方がいると、作品がどんどんよくなっていくんですよね。最初のラフから何度も何度もやり直しました。 ウェブの仕事もそうなんですが、一発OKってまずない。 何度も何度もやり直してブラッシュアップして、完成するもの。そういう作業工程は習慣づいていたので、楽しく描けました。
書籍化にあたってだんごむしのフォルムを試行錯誤
■ 企画が通らなくても全然かまわないと思って
――続いての著書となった『あしあし ぱあっ』は、足を見てなんの動物か当てるという、めくるのが楽しくなる絵本です。
『だんごむしコーロコロ』を出した後、編集さんから「一緒に企画を考えませんか」っていうお話をいただいたんです。
企画が通るかどうかはわからないですが……とも言われましたけど、全然かまわないと思って、10本ぐらい案を出しました。
普段から絵本の種みたいなものを思いつくと、スマホのメモ帳に記録しているんです。最終的に通ったのが『あしあし ぱあっ』でした。
最初は、「ネズミぐらいの小さな動物がゾウみたいな大きい動物を見たら足しか見えないだろうな」っていう発想から考えたストーリーだったんです。0~3歳児向けにしてほしいということで、無駄なものを削ぎ落としていって今の形になりました。
――「ぱぁっ」の後にもう1ページあるのが楽しいです。その動物の別の一面が見られますね。
ありがとうございます。あれは、子供に真似っこしてほしいなと思ってそうしたんですよね。読み聞かせしながら、親子で「あしあし……ぱぁっ」「にゃん」って楽しめるような要素も入れたかったので。ペンギンのところも可愛いですよね。
――ペンギンの正面の表情がとてもユーモラスですね。
1羽だけポーズが反対になっちゃってるのは、体操をしているときに私だけみんなと反対向きになっちゃうことがよくあるので、その経験からですね(笑)。
担当編集A:『あしあし ぱあっ』はテレビで取り上げられたり、図書館で紹介したいというような、問い合わせが多い絵本ですね。イラストやデザインがとても目を引きますし、こういう繰り返しものって子どもたちに受けがいいんです。いろんな動物が出てくるのもいいんでしょうね。
『あしあし ぱぁっ』書籍化にあたって、様々な動物パターンを制作。
■ アイデアの種は、誰もが子どもの頃に経験したこと
――日頃からたくさん絵本のアイデアを書き留めているとのことですが、海野さんのアイデアの源は何ですか?
子どもの頃から妄想する癖があって、ニヤニヤしながら歩いているところを見られて、突っ込まれることもしょっちゅうです(笑)。まだお話にもならないようなアイデアの種みたいなものでも書き留めて寝かしておきます。 1ヶ月ぐらい寝かせてから見てみると意味不明だったりもするけど、いいんです。そこから新たな発想につながることもありますから。
――海野さん自身から出てくるものなんですね。
私のアイデアの種は、子どもの頃に経験したことの記憶なんです。 それはきっとみなさん持っているはずなんですよ。だけど大人になって忘れてしまう。夏休みに田舎に行って、川で泳いだり虫取りをして楽しかったときの思い出。そういう記憶が私のベースになっているんだと思います。私の中にいる3歳児と、3歳だった頃の娘を思い出して、子どもと親の両方の目線を大切にしながら、これからもたくさん絵本を作っていきたいです!
実際の作業場
「第12回アルファポリス絵本・児童書大賞」優秀賞受賞作! 『コロコロ コロコロ ころがって、だんごむしはどこへゆく?』――おうちから飛び出しただんごむしが、いろいろな生き物に出会う絵本。赤ちゃんの目も引くビビットな色彩で、だんごむしの冒険を楽しもう!
試し読み・詳細を見る足の形から、なんの動物か当ててみよう! 人気の動物たちがたくさん登場。ビビッドな色彩とユーモラスな動物の表情が楽しい0~2歳向け絵本。はじめての知育に最適です。
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