絵本ひろば

「絵本ひろば」から出版! 絵本作家インタビュー


『だいかぞく』作者 南 知里さん

恐怖心からの“逃避”が、絵本への情熱に

――南さんは毎日、絵本制作にどれぐらいの時間をかけていますか。

普段は絵本とは別の仕事をしているのですが、それ以外の時間はずっと絵本を作っています。私、自分の時間をできるだけ絵本制作に費やしたいので、買い物もあまり行かないし、いつも同じような服ばかり着ているんですよ。出かけたり悩んだりする時間がもったいなくて(笑)。

――スティーブ・ジョブズみたいですね(笑)。意思決定を極力減らしている。

そんなすごいものじゃないです。私すごい小心者なので、一人暮らしなんてできないし、家族が泊りがけで出かけたりすると、おばけが出るんじゃないかって怯えてしまうんです。さらに今はコロナ禍だったり災害も多いから、考えるだけでビクビクしちゃう。でも想像の世界に入って絵を描いていれば、恐怖が消えるんですよね。だからずっと絵本を描いていたいんです。

――なるほど。

私はずっとみんなと一緒にいたいのに、お祭りは終わっちゃう。両親とずっと一緒に暮らしたかったけれど、巣立たないといけない。環境が変わることに対する恐怖心みたいなものがいつもあるんですよね。そんな思いが『だいかぞく』にも表れていますよね(笑)。だけど絵本の中ならずっと時間が止まっているので、そこに入れば悲しくなくなる。だから私の場合、外の世界でヒントを得て絵本を描くというより、すーっと夢の世界に入ってずっと浸っているという感じ。要するに現実逃避みたいなところはありますね(笑)。

――南さんの絵本は、たくさんのキャラクターがどんどん集まって、みんなで幸せを分け合うというものが多いですが、そういう考えから来ていたんですね。

そうですね。どんどん集まって、ぎゅうぎゅうになってっていう。私は悲しい話は苦手なので描けないかもしれません。結局私が好きなのは、とにかくハッピーなお話。自分が読みたいものを描きたいだけなんです。

実際の作業場

――最後に、絵本作家を目指している方や、絵本ひろばに興味を持っている方に伝えたいことはありますか。

絵本講座に通っていたとき、「本の出版は恋愛と同じ。編集者さんと思いが通じ合えばうまくいく」と言われました。自分がいいと思って作った作品を好きになってくれる編集さんとの出会いがあれば本が出せるって。絵本作家を目指している方はいろんな公募に応募していると思うんですけど、それぞれテーマやルールがあったりもするので、落ちたからといってその作品がダメということではないと思うんですよね。アルファポリスさんの絵本ひろばはどんな作品でも投稿できるし、そこから先につながる可能性もあります。編集者さんと思いがつながる道を探してほしいなと思います。

『だいかぞく』
南 知里 / 著

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