絵本ひろば

「絵本ひろば」から出版! 絵本作家インタビュー

第13回絵本・児童書大賞 優秀賞受賞!
『おやこ』作者 ふくかわ ゆめみさん

絵本制作をやめるという選択肢はもうなかった

――最初は絵本教室には通っていなかったということですが、その後通われたんですか?

はい。絵本を描き始めてからコンペに出していたんですけれど、成果が出なくて。コンペで落選しても、何が悪かったのかがわからない。次にどうしたらいいのかもわからないので、これは他の人に客観的に見てもらって指摘してもらおうと。私の絵本のスタイル、こっちの方向で頑張っていくことが間違ってないかどうかを確かめたくて、村上浩子先生が主宰されている「えほん作家養成教室」に半年通いました。

――どんな学びがありましたか?

基礎的なところから学びました。見開きページは1枚の絵で描くと絵に迫力がでること。お話を進めるにあたって目線を統一させたり、いろんな角度から進めていったりする方法があることなどですね。先生は「文章も絵の一部。文章が加わってひとつの絵になるんです」とおっしゃっていました。それを聞いて、 絵本は文章がついた絵画なんだなと思いましたね。 そうやって真剣に学んでみたら、やっぱり自分は絵が好きだったんだなと再確認できました。絵本を描いて、成果が出なくても、好きということは変わらなかった。絵本制作をやめるという選択肢はもうなかったですね。絵本ひろばを知ったのもその頃でした。インターネットで絵本作品を投稿してシェアし合えるような、絵本のプラットホーム的な場所はないだろうかと思って検索したところ、絵本ひろばさんがヒットして、開いた瞬間、「これや!」って(笑)。よくぞ作ってくださったと思いました。

過去作品の下書き・原画

『おやこ』を思いついたきっかけ

ーーそして2020年に絵本ひろばに投稿された『おやこ』で、第13回絵本・児童書大賞優秀賞を受賞されました。 こちらはどんなきっかけでお話を思いつかれたのでしょうか。

絵本教室で「小さな絵本づくり」のワークショップ授業がありました。1時間半ぐらいの制限時間で1冊の絵本を作るというものです。絵本作りの基礎と製本体験できる時間なんですが、その時に先生が 「即興で作ったほうが面白いものができるかもしれませんよ」 と声をかけてくださったんです。そのときに作ったのが『おやこ』でした。お話は5分ぐらいで考えたもので、その後に投稿用に描き直していますが、基本は変わっていないですね。そのとき私が下の娘を妊娠中だったので、お腹にいる娘に読み聞かせるつもりで考えたものでした。いろんな動物の親子が登場する物語で、後に水彩画で描き直して投稿しました。

――最初はミニ絵本だったんですね。

そうなんです。結構気に入っていたので、マタニティ向けに自分で製本して売ろうかなと思っていました。妊娠中から読める本というイメージでしたね。

ミニ絵本だった『おやこ』

――優秀賞受賞と聞いて、どんな思いでしたか。

本当に思いがけないことでした。もしかしたらいけるかなとかじゃなくて、想定外だったんですよ。その前に、絵本ひろばさんで『おやこ』をピックアップ作品に選んでいただいていたんですね。ずっとコンペに応募しても全然通らなくて、まずは絵本ひろばでピックアップに選ばれることを目標にしていたので、すごく嬉しくて。 それで調子に乗って、絵本・児童書大賞に応募したんです(笑)。 これなら見てもらえるのかもしれないって。そうしたら賞をいただけた。興奮がなかなか覚めなかったんですが、すぐにアルファポリスの編集部から書籍化のご連絡をいただいて……。びっくりの連続でした。

『おやこ』原画