絵本ひろば

「絵本ひろば」から出版! 絵本作家インタビュー


『メロンパンツ』作者 しぶやこうきさん

『メロンパンツ』
しぶやこうき / 著

東宝×アルファポリス「第10回絵本・児童書大賞」特別賞受賞作、待望の書籍化! 散歩中にメロンパンを見つけた、カエルのケロン。「ぜ~んぶ、おれのものだ!」とひとりじめしようとするけれど……? 親子で笑いが止まらない! ユーモアいっぱいの絵本。

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「これは パンツでーす! たべられませ~ん」

ユーモアいっぱいの絵本『メロンパンツ』で東宝×アルファポリス「第10回絵本・児童書大賞」特別賞を獲得し、書籍化デビューを果たしたしぶやこうきさん。親子で笑いが止まらない!と大評判の本作の書籍化までの道のりや、絵本への想いを伺いました。

絵本を描くきっかけ

――『メロンパンツ』書籍化おめでとうございます。改めて、しぶやさんの絵本との出会いから教えていただけますでしょうか。

僕は北海道の出身で、高校卒業後、デザインの専門学校に通いました。キャラクターデザイン専攻だったんですが、ある授業で先生が絵本作家の荒井良二さんのドキュメンタリーを見せてくれたんです。それまでは絵本というものに関心を持ったことがなかったのに、そのドキュメンタリーを見て、「こういう職業があるんだ。絵本を描くことを仕事にできたらいいな」って漠然とですが心に残ったんですよね。でもそんなすぐには絵本作家にはなれないだろうと思い、まったく関係のない企業に就職しました。だけど絵本作家になりたいという気持ちがどんどん大きくなっていったので、独学で絵本を描き始めました。

『メロンパンツ』の表紙案

――荒井良二さんのドキュメンタリーを見て、絵本作家のどういうところに惹かれたのでしょうか。

自由なところです。絵本に限らず、生きていると縛り付けられるような感覚になることってあると思うんです。勉強しなきゃいけないとか、就職しなきゃいけないとか。そういうのを超えた、「自由でいいんだよ」っていうメッセージを感じました。イラストレーターやデザイナーになる道もあったけど、依頼ありきで描くことよりも、自分が自由に描ける絵本のほうが、一番やりたい表現だなと思いましたね。

――ちなみに、絵を描くことは好きだったんですか?

絵は子どもの頃から好きでしたけど、漫画より映画のほうが好きだったので、洋画みたいに、一枚の絵を描いて下に字を入れるっていう描き方をよくしていましたね。映画のスクリーンみたいにしたくて、映画の1シーンを描いて、字幕を下に入れるようなイメージで人物のセリフを書くっていう。これを形にできないかなぁと思っていたときに絵本に出会って、「自分がやりたかったのはこれかもしれない」って。

――初めて絵本を描いてみたときのことを教えてください。

それまで絵本のような一枚絵しか描いていなかったんですが、それだと絵本というよりはアートに近い感じでした。絵本の作り方が書かれた参考書のようなものを片っ端から読んで、あとは荒井良二さんをはじめとする自分が好きな作家さんの絵本を買って真似してみました。独学で色々と描いてみて、絵本を描こうと思ってから2年後にようやく1冊作り上げ、同人誌即売会の大規模イベントで販売しました。「絵本ひろば」にもアップしている 『あめのこうたう』 です。

――初めて描いた絵本を早速イベントで販売されたんですね。

そのイベントは漫画を出している人がほとんどなので、客層も大人が多いんです。そんな中で絵本を販売していたら、ある親子連れの方が買ってくれたんですよ。嬉しくて、翌年もまた出したら、その親子の方がまた来てくれました。「子どもが続きを読みたがって」と言ってもらえて、嬉しかったですね。続編の絵本は作っていなかったんですけど(笑)。今から8年前のことなので、その子ももう大きくなっているでしょうね。

メロンパンツができるまで

――その後、後に書籍化することになる『メロンパンツ』を描かれますが、この作品はどんな経緯で生まれたんでしょうか。

独学で絵本を描き始めて5年ぐらいたった後、絵本のワークショップに参加しました。そこで作ったのが『メロンパンツ』なんです。実は最初に考えたのは、メロンパンではなくコロッケでした。コロッケそのままの形をしたキャラクターが食べられそうになって逃げていくお話を考えたんですが、講師の先生に、「ただコロッケが逃げているだけじゃお話として弱い。コロッケの中に何かが入っていて、それが逃げている……みたいにしたほうが説得力があるんじゃない?」と言われて。それで思いついたのがカエルでした。僕、カエルが苦手なんですよ(笑)。だけどコロッケの中にカエルが入っていたらインパクトがあるなと思って。コロッケをかぶったカエルが追いかけられて、逃げていくうちにコロッケがポロポロと崩れていって、最後にパンツの形になっちゃったっていうオチを考えました。だけどそれだと、自分が本当に何を描きたいのかわからなくなってしまったんです。

『メロンパンツ』のもとになったコロッケのキャラクター

――どういうことでしょう。

逃げる様子を描きたいのか、追いかける子どもや動物を描きたいのか、それともパンツを描きたいのかが、わからなくなったんです。先生から、「カエルは水の中に逃げるだろうから、コロッケだとすぐに全部取れちゃうよね。それよりはパンの方がいいんじゃない?」って言ってもらって。それを聞いた瞬間に、「メロンパンツ」っていう言葉を思いつきました。それで、メロンパンの中にカエルがいるっていう話にしたんです。だけど、パンツの形になっちゃったというのは、オチとしてはまだ弱い。そう考えて、カエルがメロンパンをパンツだと嘘をつくところを、序盤に持ってくることにしたんです。

――「何を描きたいのか」を一番に考えたんですね。

全体の構成はいつも10回以上は直します。でも『メロンパンツ』は早いほうでしたね。構成は、全体の構成図をまず考える方もいますけど、僕はとりあえず1ページずつ描いていきます。描いていると次の流れがわかるという感じ。リズムを自分で体感しながら描きたいので、とりあえず1ページずつ小さい紙に1枚ずつ書いていきます。描いてはめくって、流れがわからなくなったらまた最初から見ていく。そうすると展開を思いつくんです。ページのリズムを大切にしています。

――登場キャラクターはどう作っていきましたか。

主人公の“ケロン”と、友達の“ぴょこ”と“モゲピョロゴ”のキャラクターは、どれも全部僕の性格を投影しています。 僕は、食べているときに「一口ちょうだい」って言われるのが苦手なんですが、それがまさにケロン。ぴょこみたいに、一度疑ったらしつこく疑い続けるところも、逆にモゲピョロゴみたいにすぐ信じちゃうところも、全部僕の性格なんです。

左から、主人公の“ケロン”と、友達の“ぴょこ”と“モゲピョロゴ”

――そうして完成させた『メロンパンツ』を、「絵本ひろば」に投稿したのはどうしてだったんですか?

そのワークショップで、「絵本ひろば」を紹介していただいたんです。 無料で投稿できるし、無料で読めるからたくさんの人に読んでもらえる。それまでは別のサービスを使って作品をアップしていたんですけど、全部「絵本ひろば」に移行しました。初期の頃の拙い作品は恥ずかしいんですけど、せっかく作ったし、自分が見返すためでもあり、自分への戒めの意味もあり(笑)。全部さらけ出そうとは思っています。

――「絵本ひろば」を使ってみて、どんなことを感じますか。

コメントがつくと嬉しいですね。「子どもが喜んで読んでいます」って言ってもらえると一番嬉しいし、絵本を作ってよかったなって思えるので。作品をアップした後でも投稿し直せるので、修正したものを上げ直せるのも便利です。今まで描いた作品は全部載せているので、僕としても作品を管理しやすいですね。閲覧数がわかるので、作品によって傾向がわかったり、自分としてはあまり自信がない作品が多く見られていたりして、「直そうと思っていたけどやめようかな」なんて思ったりしますね(笑)。