海を守るきらきらの鐘
2024年の能登半島地震の際、3.11の記憶もあって、遠方にいて状況が把握できない私は、まず津波を強く警戒しました。
まんが日本昔ばなし『天の石笛』を思い出しながら、「津波が来る前に、市民へ合図を送れる仕組みがあればいいのに」と感じ、その思いを形にしたのが絵本『海を守るきらきらの鐘』です。
この絵本をきっかけに、気象予報システムの研究や開発が進むのであれば、大学にラボがあるからこそ実現できることであり、大学発の絵本出版が叶えば、企業や研究者との協働によって、より良い循環を生み出せるのではないかと期待しています。
そして、読者の声を形にするという形式が理想であり、「海」をテーマにしたように、富山においても海鮮をはじめとする海の資源は非常に重要です。
そのため、この作品には「命を守る」だけでなく、「リサイクル」「エコ」「掃除」といった要素も含まれています。
つまり、多様な人が関われるこの方向性の絵本こそ、私が本来やりたかったことです。
しかし、世間のニーズは必ずしもそこに向いていないのかもしれません。
一方で、絵本『リスのチロルと ひみつの香水工房』は、香水という題材ゆえに男女問わず富裕層からの支持も見込めます。五箇山が舞台であることから、地域での展開も期待できます。
ただし、大学のプロジェクトとして成立させる以上、発起人が学生ではなく社会人である場合、「楽しくておしゃれな活動」にとどまることは許されません。
社会的意義や学術的な価値を提示できることが求められます。
そこで改めて考えたのは、掃除に比重を置いた別の2タイトルについては、特に無料公開のほうが広がりやすいのかもしれないという点です。
・『高岡大仏とツバメのやくそく』
・『リクくんとゴミのおばけ』
タロットの「法王(指導者)」を童話『金色のペン』に重ねたように、掃除を扱う作品には教師としての教訓が強く込められています。
そのため、有料にするとかえって届きにくい絵本もあると感じています。